日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

富木尼御前御返事

<前 P0976 次>


うちそうものはなみだなりともなうものはなげきなり、いかにかなしかるらむかくなげかんほどにもうこのつわものせめきたらば山か海もいけとりか、ふねの内かかうらいかにてうきめにあはん、これひとへに失もなくて日本国の一切衆生の父母となる法華経の行者日蓮をゆへもなく或はのり或は打ち或はこうじをわたし、ものにくるいしが十羅刹のせめをかほりてなれる事なり、又又これより百千万億倍たへがたき事どもいで来るべし、不思議を目の前に御らんあるぞかし、我れ等は仏に疑いなしとをぼせばなにのなげきか有るべき、きさきになりてもなにかせん天に生れてもようしなし、竜女があとをつぎ摩訶波舎波堤比丘尼のれちにつらなるべし、あらうれしあらうれし、南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経と唱えさせ給え、恐恐謹言。

=三月二十七日                      日蓮花押

% 尼ごぜんへ

*忘持経事

    /建治二年 五十五歳御作

+         与富木常忍

 忘れ給う所の御持経追て修行者に持たせ之を遣わす。

 魯の哀公云く人好く忘る者有り移宅に乃ち其の妻を忘れたり云云、孔子云く又好く忘るること此れより甚しき者有り桀紂の君は乃ち其の身を忘れたり等云云、夫れ槃特尊者は名を忘る此れ閻浮第一の好く忘るる者なり今常忍上人は持経を忘る日本第一の好く忘るるの仁か、大通結縁の輩は衣珠を忘れ三千麈劫を経て貧路に踟・し久遠下種の人は良薬を忘れ五百塵点を送りて三途の嶮地に顛倒せり、今真言宗念仏宗禅宗律宗等の学者等は仏陀の本意を忘失し未来無数劫を経歴して阿鼻の火坑に沈淪せん、此れより第一の好く忘るる者あり


<前 P0976 次>


満月城岡山ポケット版御書