日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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四条金吾殿御返事

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此の状にかきたるがごとくすこしもへつらはず振舞仰せあるべし、中中へつらふならばあしかりなん、設ひ所領をめされ追い出し給うとも十羅刹女の御計いにてぞあるらむとふかくたのませ給うべし。

 日蓮はながされずしてかまくらにだにもありしかば有りしいくさに一定打ち殺されなん、此れも又御内にてはあしかりぬべければ釈迦仏の御計いにてやあるらむ、陳状は申して候へども又それに僧は候へどもあまりのおぼつかなさに三位房をつかはすべく候にいまだ所労きらきらしく候はず候へば同事に此の御房をまいらせ候、だいがくの三郎殿かたきの太郎殿かとき殿かにいとまに随いてかかせてあげさせ給うべし、これはあげなば事きれなむいたういそがずとも内内うちをしたため又ほかのかつばら(彼奴原)にもあまねくさはがせてさしいだしたらば若や此の文かまくら内にもひろうし上へもまいる事もやあるらん、わざはひの幸はこれなり。

 法華経の御事は已前に申しふりぬ、しかれども小事こそ善よりはをこて候へ、大事になりぬれば必ず大なるさはぎが大なる幸となるなり、此の陳状人ごとにみるならば彼等がはぢあらわるべし、只一口に申し給へ我とは御内を出て所領をあぐべからず、上よりめされいださむは法華経の御布施幸と思うべしとののしらせ給へ、かへすがへす奉行人にへつらうけしきなかれ、此の所領は上より給たるにはあらず、大事の御所労を法華経の薬をもつてたすけまいらせて給て候所領なれば召すならば御所労こそ又かへり候はむずれ、爾時は頼基に御たいじゃう候とも用ひまいらせ候まじく候とうちあてにくさうげ(憎体気)にてかへるべし。

 あなかしこあなかしこ御よりあひあるべからず、よるは用心きびしく夜廻の殿原かたらいて用ひ常にはよりあはるべし今度御内をだにもいだされずば十に九は内のものねらひなむかまへてきたなきしにすべからず。

= 建治三年丁丑七月               日蓮花押

  %四条金吾殿御返事


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