日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

四条金吾殿御返事

<前 P1169 次>


御起請かかせ給うべからず火はをびただしき様なれども暫くあればしめる水はのろき様なれども左右なく失いがたし、御辺は腹あしき人なれば火の燃るがごとし一定人にすかされなん、又主のうらうらと言和かにすかさせ給うならば火に水をかけたる様に御わたりありぬと覚ゆ、きたはぬかねはさかんなる火に入るればとくとけ候、冰をゆに入るがごとし、剣なんどは大火に入るれども暫くはとけず是きたへる故なり、まへにかう申すはきたうなるべし仏法と申すは道理なり道理と申すは主に勝つ物なりいかにいとをしはなれじと思うめなれども死しぬればかひなしいかに所領ををししとをぼすとも死しては他人の物、すでにさかへて年久しすこしも惜む事なかれ、又さきざき申すがごとくさきざきよりも百千万億倍御用心あるべし。

 日蓮は少より今生のいのりなし只仏にならんとをもふ計りなり、されども殿の御事をばひまなく法華経釈迦仏日天に申すなり其の故は法華経の命を継ぐ人なればと思うなり。穴賢穴賢あらかるべからず吾が家にあらずんば人に寄合事なかれ、又夜廻の殿原はひとりもたのもしき事はなけれども法華経の故に屋敷を取られたる人人なり、常はむつばせ給うべし、又夜の用心の為と申しかたがた殿の守りとなるべし、吾方の人人をば少少の事をばみずきかずあるべしさて又法門なんどを聞ばやと仰せ候はんに悦んで見え給うべからず、いかんが候はんずらん、御弟子共に申してこそ見候はめとやわやわとあるべしいかにもうれしさにいろに顕われなんと覚え聞かんと思う心だにも付かせ給うならば火をつけてもすがごとく天より雨の下るがごとく万事をすてられんずるなり。

 又今度いかなる便も出来せばしたため候し陳状を上げらるべし、大事の文なればひとさはぎはかならずあるべし、穴賢穴賢。

% 四条金吾殿                     日蓮花押


<前 P1169 次>


満月城岡山ポケット版御書