日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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妙一尼御前御返事

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*妙一尼御前御返事

    /弘安三年五月 五十九歳御作

 夫信心と申すは別にこれなく候、妻のをとこをおしむが如くをとこの妻に命をすつるが如く、親の子をすてざるが如く子の母にはなれざるが如くに、法華経釈迦多宝十方の諸仏菩薩諸天善神等に信を入れ奉りて南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを信心とは申し候なり、しかのみならず正直捨方便不受余経一偈の経文を女のかがみをすてざるが如く男の刀をさすが如く、すこしもすつる心なく案じ給うべく候、あなかしこあなかしこ。

= 五月十八日                    日蓮花押

%  妙一尼御前御返事

*妙一女御返事

      /弘安三年七月 五十九歳御作

 問うて云く、日本国に六宗七宗八宗有り何れの宗に即身成仏を立つるや、答えて云く伝教大師の意は唯法華経に限り弘法大師の意は唯真言に限れり、問うて云く其の証拠如何、答えて云く伝教大師の秀句に云く「当に知るべし他宗所依の経には都て即身入無し一分即入すと雖も八地已上に推して凡夫身を許さず天台法華宗のみ具に即入の義有り」云云、又云く「能化所化倶に歴劫無し妙法経力即身成仏す」等云云、又云く「当に知るべし此の文に成仏する所の人を問うて此の経の威勢を顕すなり」と等云云、此の釈の心は即身成仏は唯法華経に限るなり。

 問うて云く弘法大師の証拠如何、答えて云く弘法大師の二教論に云く「菩提心論に云く唯真言法の中に即身成仏する故は是れ三摩地の法を説くなり諸教の中に於て闕いて書さず、諭して曰く此の論は竜樹大聖の所造千部の


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満月城岡山ポケット版御書