日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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破良観等御書

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在家の人人は不審あるゆへに各各の持僧等或は真言師或は念仏者或はふるき天台宗或は禅宗或は律僧等をわきにはさみて或は日蓮が住処に向い或はかしこへよぶ、而れども一言二言にはすぎず迦旃延が外道をせめしがごとく徳慧菩薩が摩沓婆をつめしがごとくせめしゆへに其の力及ばず、人は智かしこき者すくなきかのゆへに結句は念仏者等をばつめさせてかなはぬところには大名してものをぼへぬ侍どものたのしくて先後も弁えぬ在家の徳人等挙て日蓮をあだするほどに或は私に狼藉をいたして日蓮がかたの者を打ち或は所ををひ或は地をたて或はかんだうをなす事かずをしらず、上に奏すれども人の主となる人はさすが戒力といゐ福田と申し子細あるべきかとをもひて左右なく失もなされざりしかばきりものどもよりあひてまちうど等をかたらひて数万人の者をもつて夜中にをしよせ失わんとせしほどに十羅刹の御計らいにてやありけん日蓮其の難を脱れしかば両国の吏心をあわせたる事なれば殺されぬをとがにして伊豆の国へながされぬ、最明寺殿計りこそ子細あるかとをもわれていそぎゆるされぬ。

 さりし程に最明寺入道殿隠れさせ給いしかばいかにも此の事あしくなりなんず、いそぎかくるべき世なりとはをもひしかどもこれにつけても法華経のかたうどつよくせば一定事いで来るならば身命をすつるにてこそあらめと思い切りしかば讒奏の人人いよいよかずをしらず、上下万人皆父母のかたきとわりをみるがごとし、不軽菩薩の威音王仏のすへにすこしもたがう事なし。

*檀越某御返事

    /弘安元年四月 五十七歳御作

 御文うけ給わり候い了んぬ、日蓮流罪して先先にわざわいども重て候に又なにと申す事か候べきとはをもへども人のそんぜんとし候には不可思議の事の候へばさが候はんずらむ、


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満月城岡山ポケット版御書