日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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妙法比丘尼御前御返事

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 されば女人は由なき道には名を折り命を捨つれども成仏の道はよはかりけるやとをぼへ候に、今末代悪世の女人と生れさせ給いてかかるものをぼえぬ島のえびすにのられ打たれ責られしのび法華経を弘めさせ給う彼の比丘尼には雲泥勝れてありと仏は霊山にて御覧あるらん、彼の比丘尼の御名を一切衆生喜見仏と申すは別の事にあらず、今の妙法尼御前の名にて候べし、王となる人は過去にても現在にても十善を持つ人の名なり名はかはれども師子の座は一也、此の名もかはるべからず、彼の仏の御言をさかがへす尼だにも一切衆生喜見仏となづけらる、是は仏の言をたがへず此の娑婆世界まで名を失ひ命をすつる尼なり、彼は養母として捨て給はず是は他人として捨てさせ給はば偏頗の仏なり、争でかさる事は候べき、況や其中衆生悉是吾子の経文の如くならば今の尼は女子なり彼の尼は養母なり、養母を捨てずして女子を捨つる仏の御意やあるべき、此の道理を深く御存知あるべし、しげければとどめ候い畢んぬ。

                               日蓮花押

%   妙法尼御前

*内房女房御返事

 内房よりの御消息に云く八月九日父にてさふらひし人の百箇日に相当りてさふらふ、御布施料に十貫まいらせ候乃至あなかしこあなかしこ、御願文の状に云く「読誦し奉る妙法蓮華経一部読誦し奉る方便寿量品三十巻読誦し奉る自我偈三百巻唱え奉る妙法蓮華経の題名五万返」云云同状に云く「伏して惟れば先考の幽霊生存の時弟子遥に千里の山河を凌ぎ親り妙法の題名を受け然る後三十日を経ずして永く一生の終りを告ぐ」等云云、


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満月城岡山ポケット版御書