日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

高橋入道殿御返事 /建治元年七月

<前 P1458 次>


*高橋入道殿御返事 /建治元年七月

  五十四歳御作

  進上 高橋入道殿御返事           日  蓮

 我等が慈父大覚世尊は人寿百歳の時中天竺に出現しましまして一切衆生のために一代聖教をとき給う、仏在世の一切衆生は過去の宿習有つて仏に縁あつかりしかばすでに得道成りぬ、我が滅後の衆生をばいかんがせんとなげき給いしかば八万聖教を文字となして一代聖教の中に小乗経をば迦葉尊者にゆづり大乗経並びに法華経涅槃等をば文殊師利菩薩にゆづり給う、但八万聖教の肝心法華経の眼目たる妙法蓮華経の五字をば迦葉阿難にもゆづり給はず、又文殊普賢観音弥勒地蔵竜樹等の大菩薩にもさづけ給はず、此等の大菩薩等ののぞみ申せしかども仏ゆるし給はず、大地の底より上行菩薩と申せし老人を召しいだして多宝仏十方の諸仏の御前にして釈迦如来七宝の塔中にして妙法蓮華経の五字を上行菩薩にゆづり給う。

 其の故は我が滅後の一切衆生は皆我が子なりいづれも平等に不便にをもうなり、しかれども医師の習い病に随いて薬をさづくる事なれば我が滅後五百年が間は迦葉阿難等に小乗経の薬をもつて一切衆生にあたへよ、次の五百年が間は文殊師利菩薩弥勒菩薩竜樹菩薩天親菩薩に華厳経大日経般若経等の薬を一切衆生にさづけよ、我が滅後一千年すぎて像法の時には薬王菩薩観世音菩薩等法華経の題目を除いて余の法門の薬を一切衆生にさづけよ、末法に入りなば迦葉阿難等文殊弥勒菩薩等薬王観音等のゆづられしところの小乗経大乗経並びに法華経は文字はありとも衆生の病の薬とはなるべからず、所謂病は重し薬はあさし、其の時上行菩薩出現して妙法蓮華経の五字を一閻浮提の一切衆生にさづくべし、其の時一切衆生此の菩薩をかたきとせん、


<前 P1458 次>


満月城岡山ポケット版御書