日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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高橋入道殿御返事 /建治元年七月

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所謂さるのいぬをみたるがごとく鬼神の人をあだむがごとく過去の不軽菩薩の一切衆生にのりあだまれしのみならず杖木瓦礫にせめられしがごとく覚徳比丘が殺害に及ばれしがごとくなるべし。

 其の時は迦葉阿難等も或は霊山にかくれ恒河に没し弥勒文殊等も或は都率の内院に入り或は香山に入らせ給い、観世音菩薩は西方にかへり普賢菩薩は東方にかへらせ給う、諸経は行ずる人はありとも守護の人なければ利生あるべからず、諸仏の名号は唱うるものありとも天神これをかごすべからず、但し小牛の母をはなれ金鳥のたかにあえるがごとくなるべし、其の時十方世界の大鬼神一閻浮提に充満して四衆の身に入つて或は父母をがいし或は兄弟等を失はん、殊に国中の智者げなる持戒げなる僧尼の心に此の鬼神入つて国主並びに臣下をたぼらかさん、此の時上行菩薩の御かびをかほりて法華経の題目南無妙法蓮華経の五字計りを一切衆生にさづけば彼の四衆等並びに大僧等此の人をあだむ事父母のかたき宿世のかたき朝敵怨敵のごとくあだむべし、其の時大なる天変あるべし、所謂日月蝕し大なる彗星天にわたり大地震動して水上の輪のごとくなるべし、其の後は自界叛逆難と申して国主兄弟並びに国中の大人をうちころし後には他国侵逼難と申して鄰国よりせめられて或はいけどりとなり或は自殺をし国中の上下万民皆大苦に値うべし、此れひとへに上行菩薩のかびをかをほりて法華経の題目をひろむる者を或はのり或はうちはり或は流罪し或は命をたちなんどするゆへに仏前にちかひをなせし梵天帝釈日月四天等の法華経の座にて誓状を立てて法華経の行者をあだまん人をば父母のかたきよりもなをつよくいましむべしとちかうゆへなりとみへて候に、今日蓮日本国に生まれて一切経並びに法華経の明鏡をもて日本国の一切衆生の面に引向たるに寸分もたがはぬ上仏の記し給いし天変あり地夭あり、定んで此の国亡国となるべしとかねてしりしかばこれを国主に申すならば国土安穏なるべくもたづねあきらむべし、亡国となるべきならばよも用いじ、用いぬ程ならば日蓮は流罪死罪となるべしとしりて候いしかども仏いましめて云く


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満月城岡山ポケット版御書