日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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上野殿御返事

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所詮はわがをやのわかれをしさに父の御ために釈迦仏法華経へまいらせ給うにや孝養の御心か、さる事なくば梵王帝釈日月四天その人の家をすみかとせんとちかはせ給いて候はいふにかひなきものなれども約束と申す事はたがへぬ事にて候に、さりともこの人人はいかでか仏前の御約束をばたがへさせ給い候べき、もし此の事まことになり候はばわが大事とおもはん人人のせいし候、又おほきなる難来るべし、その時すでに此の事かなうべきにやとおぼしめしていよいよ強盛なるべし、さるほどならば聖霊仏になり給うべし、成り給うならば来りてまほり給うべし、其の時一切は心にまかせんずるなり、かへすがへす人のせいしあらば心にうれしくおぼすべし、恐恐謹言。

=   五月三日                    日蓮花押

% 上野殿御返事

*上野殿御返事

   /建治元年七月 五十四歳御作

 むぎひとひつかわのり五条はじかみ六十給了んぬ、いつもの御事に候へばをどろかれずめづらしからぬやうにうちをぼへて候はぼむぶの心なり、せけんそうそうなる上ををみやつくられさせ給へば百姓と申し我が内の者と申しけかちと申しものつくりと申しいくそばくいとまなく御わたりにて候らむに山のなかのすまゐさこそと思ひやらせ給いて鳥のかい子をやしなふが如く灯に油をそふるがごとくかれたる草に雨のふるが如くうへたる子に乳をあたふるが如く法華経の御命をつがせ給う事三世の諸仏を供養し給へるにてあるなり、十方の衆生の眼を開く功徳にて候べし、尊しとも申す計りなし、あなかしこあなかしこ恐恐謹言。

=   七月十二日                日蓮花押

%    進上 上野殿御返事


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満月城岡山ポケット版御書