日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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神国王御書

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此等の人人は善無畏三蔵金剛智三蔵不空三蔵慈覚智証等の真言をば器はかわれども一の智水なり、其の上天台宗の座主の名を盗みて法華経の御領を知行して三千の頭となり一国の法の師と仰がれて大日経を本として七重くだれる真言を用いて八重勝れりとをもへるは天を地とをもい民を王とあやまち石を珠とあやまつのみならず珠を石という人なり、教主釈尊多宝仏十方の諸仏の御怨敵たるのみならず一切衆生の眼目を奪い取り三善道の門を閉ぢ三悪道の道を開く、梵釈日月四天等の諸天善神いかでか此の人を罰せさせ給はざらむ、いかでか此の人の仰く檀那をば守護し給うべき、天照太神の内侍所も八幡大菩薩の百王守護の御ちかいもいかでか叶はせ給うべき。

 余此の由を且つ知りしより已来一分の慈悲に催されて粗随分の弟子にあらあら申せし程に次第に増長して国主まで聞えぬ、国主は理を親とし非を敵とすべき人にてをはすべきかいかがしたりけん諸人の讒言ををさめて一人の余をすて給う、彼の天台大師は南北の諸人あだみしかども陳隋二代の帝重んじ給いしかば諸人の怨もうすかりき、此の伝教大師は南都七大寺讒言せしかども桓武平城嵯峨の三皇用い給いしかば怨敵もおかしがたし、今日蓮は日本国十七万一千三十七所の諸僧等のあだするのみならず国主用い給わざれば万民あだをなす事父母の敵にも超え宿世のかたきにもすぐれたり、結句は二度の遠流一度の頭に及ぶ、彼の大荘厳仏の末法の四比丘並に六百八十万億那由佗の諸人が普事比丘一人をあだみしにも超へ師子音王仏の末の勝意比丘無量の弟子等が喜根比丘をせめしにも勝れり、覚徳比丘がせめられし不軽菩薩が杖木をかをほりしも限りあれば此れにはよもすぎじとぞをぼへ候。

 若し百千にも一つ日蓮法華経の行者にて侯ならば日本国の諸人後生の無間地獄はしばらくをく、現身には国を失い他国に取られん事彼の徽宗欽宗のごとく優陀延王訖利多王等に申せしがごとくならん、


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満月城岡山ポケット版御書