日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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九郎太郎殿御返事

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いかにめづらしからずとはあそばされて候ぞ、されば其には多く候かあらこひしあらこひし、法華経釈迦仏にゆづりまいらせ候いぬ、定めて仏は御志をおさめ給うなれば御悦び候らん、霊山浄土へまひらせ給いたらん時御尋ねあるべし、恐恐謹言。

= 建治二年丙子九月十五日               日蓮花押

%   九郎太郎殿御返事

*本尊供養御書

   /建治二年十二月 五十五歳御作

+                   与南条平七郎

 法華経御本尊御供養の御僧膳料の米一駄蹲鴟一駄送り給び候い畢んぬ、法華経の文字は六万九千三百八十四字一一の文字は我等が目には黒き文字と見え候へども仏の御眼には一一に皆御仏なり、譬えば金粟王と申せし国王は沙を金となし釈摩男と申せし人は石を珠と成し給ふ、玉泉に入りぬる木は瑠璃と成る大海に入りぬる水は皆鹹し、須弥山に近づく鳥は金色となるなり、阿伽陀薬は毒を薬となす、法華経の不思議も又是くの如し凡夫を仏に成し給ふ、蕪は鶉となり山の芋はうなぎとなる世間の不思議以て是くの如し。

 何に況や法華経の御力をや、犀の角を身に帯すれば大海に入るに水身を去る事五尺、栴檀と申す香を身にぬれば大火に入るに焼くること無し、法華経を持ちまいらせぬれば八寒地獄の水にもぬれず八熱地獄の大火にも焼けず、法華経の第七に云く「火も焼くこと能わず水も漂すこと能わず」等云云、事多しと申せども年せまり御使急ぎ候へば筆を留候い畢んぬ。

=  建治二年丙子十二月 日                日蓮花押

%    南条平七郎殿御返事


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満月城岡山ポケット版御書