日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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上野殿御返事/弘安二年一月三日

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あいよりもあをく水よりもつめたき冰かなとありがたしありがたし、恐恐謹言。

=正月三日                       日蓮花押

      %  上野殿御返事

*上野殿御返事/弘安二年四月二十日

 五十八歳御作

 抑日蓮種種の大難の中には竜口の頚の座と東条の難にはすぎず、其の故は諸難の中には命をすつる程の大難はなきなり、或はのりせめ或は処をおわれ無実を云いつけられ或は面をうたれしなどは物のかずならず、されば色心の二法よりをこりてそしられたる者は日本国の中には日蓮一人なり、ただしありとも法華経の故にはあらじ、さてもさてもわすれざる事はせうばう(少輔房)が法華経の第五の巻を取りて日蓮がつらをうちし事は三毒よりをこる処のちやうちやくなり。

 天竺に嫉妬の女人あり男をにくむ故に家内の物をことごとく打ちやぶり、其の上にあまりの腹立にやすがたけしきかわり眼は日月の光のごとくかがやきくちは炎をはくがごとしすがたは青鬼赤鬼のごとくにて年来男のよみ奉る法華経の第五の巻をとり両の足にてさむざむにふみける、其の後命つきて地獄にをつ両の足ばかり地獄にいらず獄卒鉄杖をもつてうてどもいらず、是は法華経をふみし逆縁の功徳による、いま日蓮をにくむ故にせうぼう(少輔房)が第五の巻を取りて予がをもてをうつ是も逆縁となるべきか、彼は天竺此れは日本かれは女人これはをとこかれは両のあしこれは両の手彼は嫉妬の故此れは法華経の御故なり、されども法華経第五の巻はをなじきなり、彼の女人のあし地獄に入らざらんに此の両の手無間に入るべきや、


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満月城岡山ポケット版御書