日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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上野殿御返事

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波瑠璃王のごとく現身に無間大城におち阿闍世王の如く即身に白癩病をもつぎぬべかりしが、四十二年と申せしに法華経を説き給いて「是の人滅度の想を生じて涅槃に入ると雖も而も彼の土に於て仏の智慧を求めて是の経を聞くことを得ん」と、父母の御孝養のため法華経を説き給いしかば、宝浄世界の多宝仏も実の孝養の仏なりとほめ給い十方の諸仏もあつまりて一切諸仏の中には孝養第一の仏なりと定め奉りき。

 これをもつて案ずるに日本国の人は皆不孝の仁ぞかし、涅槃経の文に不孝の者は大地微塵よりも多しと説き給へり、されば天の日月八万四千の星各いかりをなし眼をいからかして日本国をにらめ給ふ、今の陰陽師の天変頻りなりと奏し申す是なり、地夭日日に起りて大海の上の小船をうかべたるが如し、今の日本国の小児は魄をうしなひ女人は血をはく是なり。

 貴辺は日本国第一の孝養の人なり梵天帝釈をり下りて左右の羽となり四方の地神は足をいただいて父母とあをぎ給うらん、事多しといへどもとどめ候い畢んぬ、恐恐謹言。

=弘安三年三月八日                   日蓮花押

%進上 上野殿御返事

*上野殿御返事

   /弘安三年七月二日 五十九歳御作

 去ぬる六月十五日のけさん悦び入つて候、さてはかうぬし等が事いままでかかへをかせ給いて候事ありがたくをぼへ候、ただしないないは法華経をあだませ給うにては候へどもうへにはたの事によせて事かづけ


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