日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

閻浮提中御書

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 日蓮は凡夫なり天眼なければ一紙をもみとをすことなし、宿命なければ三世を知ることなし、而れども此の経文のごとく日蓮は肉眼なれども天眼宿命□□□日本国七百余歳の仏眼の流布せしやう、八宗十宗の邪正漢土月氏の論師人師の勝劣八万十二の仏経の旨趣をあらあらすいちし□□我が朝の亡国となるべき事先に此れをかんがへて宛も符契のごとし、此れ皆法華経の御力なり、而るを国主は讒臣等が凶言ををさめてあだをなせしかば、凡夫なれば道理なりとをもつて退する心なかりしかども度度あだをな。

*衆生身心御書

 衆生の身心をとかせ給う其の衆生の心にのぞむとてとかせ給へば人の説なれども衆生の心をいでず、かるがゆへに随他意の経となづけたり、譬へばさけもこのまぬをやのきわめてさけをこのむいとをしき子あり、かつはいとをしみかつは心をとらんがためにかれにさけをすすめんがために父母も酒をこのむよしをするなり、しかるをはかなき子は父母も酒をこのみ給うとをもへり。

 提謂経と申す経は人天の事をとけり、阿含経と申す経は二乗の事をとかせ給う、華厳経と申す経は菩薩のことなり、方等般若経等は或は阿含経提謂経ににたり、或は華厳経にもにたり、此れ等の経経は末代の凡夫これをよみ候へば仏の御心に叶うらんとは行者はをもへどもくはしくこれをろむずれば己が心をよむなり、己が心は本よりつたなき心なればはかばかしき事なし、法華経と申すは随自意と申して仏の御心をとかせ給う、仏の御心はよき心なるゆへにたといしらざる人も此の経をよみたてまつれば利益はかりなし、麻の中のよもぎつつの中のくちなはよき人にむつぶものなにとなけれども心もふるまひも言もなをしくなるなり、


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満月城岡山ポケット版御書