日蓮大聖人御書
ネット御書
(日女御前御返事)
<1.前 P1249 2.次>

 妙荘厳王品と申すは殊に女人の御ために用る事なり、妻が夫をすすめたる品なり、末代に及びても女房の男をすすめんは名こそかわりたりとも功徳は但浄徳夫人のごとし、いはうや此は女房も男も共に御信用あり鳥の二の羽そなはり車の二つの輪かかれり何事か成ぜざるべき、天あり地あり日あり月あり日てり雨ふる功徳の草木花さき菓なるべし。
 次に勧発品と申すは釈迦仏の御弟子の中に僧はあまたありしかども迦葉阿難左右におはしき王の左右の臣の如し、此は小乗経の仏なり、又普賢文殊と申すは一切の菩薩多しといへども教主釈尊の左右の臣なり、而るに一代超過の法華経八箇年が間十方の諸仏菩薩等大地微塵よりも多く集まり候しに左右の臣たる普賢菩薩のおはせざりしは不思議なりし事なり、而れども妙荘厳王品をとかれてさておはりぬべかりしに東方宝威徳浄王仏の国より万億の伎楽を奏し無数の八部衆を引率しておくればせして参らせ給いしかば、仏の御きそくやあしからんずらんと思ひし故にや色かへて末代に法華経の行者を守護すべきやうをねんごろに申し上られしかば、仏も法華経を閻浮に流布せんことことにねんごろなるべきと申すにやめでさせ給いけん、返つて上の上位よりもことにねんごろに仏ほめさせ給へり。
 かかる法華経を末代の女人二十八品を品品ごとに供養せばやとおぼしめす但事にはあらず、宝塔品の御時は多宝如来釈迦如来十方の諸仏一切の菩薩あつまらせ給いぬ、此の宝塔品はいづれのところにか只今ましますらんとかんがへ候へば、日女御前の御胸の間八葉の心蓮華の内におはしますと日蓮は見まいらせて候、例せば蓮のみに蓮華の有るがごとく后の御腹に太子を懐妊せるがごとし、十善を持てる人太子と生んとして后の御腹にましませば諸天此を守護す故に太子をば天子と号す、法華経二十八品の文字六万九千三百八十四字一一の文字は字ごとに太子のごとし字毎に仏の御種子なり、


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