日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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撰時抄

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法華経は阿含般若浄名思益等の経経に対すれば真実なり了義経正見なりしかりといへども涅槃経に対すれば無常教不了義経邪見の経等云云、漢より四百余年の末へ五百年に入つて陳隋二代に智・と申す小僧一人あり後には天台智者大師と号したてまつる、南北の邪義をやぶりて一代聖教の中には法華経第一涅槃経第二華厳経第三なり等云云、此れ像法の前五百歳大集経の読誦多聞堅固の時にあひあたれり、像法の後五百歳は唐の始太宗皇宗の御宇に玄奘三蔵月支に入つて十九年が間、百三十箇国の寺塔を見聞して多くの論師に値いたてまつりて八万聖教十二部経の淵底を習いきわめしに其の中に二宗あり所謂法相宗三論宗なり、此の二宗の中に法相大乗は遠くは弥勒無著近くは戒賢論師に伝えて漢土にかへりて太宗皇帝にさづけさせ給う、此の宗の心は仏教は機に随うべし一乗の機のためには三乗方便一乗真実なり所謂法華経等なり、三乗の機のためには三乗真実一乗方便所謂深密経勝鬘経等此れなり、天台智者等は此の旨を弁えず等云云、而も太宗は賢王なり当時名を一天にひびかすのみならず三皇にもこえ五帝にも勝れたるよし四海にひびき漢土を手ににぎるのみならず高昌高麗等の一千八百余国をなびかし内外を極めたる王ときこへし賢王の第一の御帰依の僧なり、天台宗の学者の中にも頭をさしいだす人一人もなし、而れば法華経の実義すでに一国に隠没しぬ、同じき太宗の太子高宗高宗の継母則天皇后の御宇に法蔵法師といふ者あり法相宗に天台宗のをそわるるところを見て前に天台の御時せめられし華厳経を取出して一代の中には華厳第一法華第二涅槃第三と立てけり、太宗第四代玄宗皇帝の御宇開元四年同八年に西天印度より善無畏三蔵金剛智三蔵不空三蔵大日経金剛頂経蘇悉地経を持て渡り真言宗を立つ、此の宗の立義に云く教に二種あり一には釈迦の顕教所謂華厳法華等、二には大日の密教所謂大日経等なり、法華経は顕教の第一なり此の経は大日の密教に対すれば極理は少し同じけれども事相の印契と真言とはたえてみへず三密相応せざれば不了義経等云云、已上法相華厳真言の三宗一同に天台法華宗をやぶれども天台大師程の智人法華宗の中になかりけるかの間


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