日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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一代五時継図

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 文句の八に云く已とは大品以上の漸頓の諸説なり今とは同一の座席謂く無量義経なり当とは謂く涅槃なり、大品等の漸頓は皆方便を帯すれば信を取ること易しと為す今無量義は一より無量を生ずれども無量未だ一に還らず是亦信じ易し、今の法華は法を論ずれば一切の差別融通して一法に帰す人を論ずれば則ち師弟の本迹倶に皆久遠なり、二門悉く昔と反すれば信じ難く解し難し、鋒に当る難事をば法華已に説く涅槃は後に在れば則ち信ず可きこと易し、秘要の蔵とは隠して説かざるを秘と為し一切を惣括するを要と為す真如実相の包蘊せるを蔵と為す、不可分布とは法妙にして信じ難し深智には授く可し無智は罪を益す故に妄りに説く可らず、昔より已来未だ曾て顕説せずとは三蔵の中に於ては二乗の作仏を説かず、亦師弟の本迹を明かさず、方等般若には実相の蔵を説くと雖も亦未だ五乗の作仏を説かず、亦未だ発迹顕本せず頓漸の諸経皆未だ融会せず故に名けて秘と為す、此の経には具に昔秘する所の法を説く即ち是れ秘密蔵を開するに亦即ち是れ秘密蔵なり、此くの如きの秘蔵は未だ曾て顕説せず、如来在世猶多怨嫉といわば四十余年には即ち説くことを得ず今説かんと欲すと雖も而も五千尋いで即ち座を退く仏世すら尚爾り、何に況や未来をや理化し難きに在り。

 楞伽経に云く我得道の夜より涅槃の夜に至るまで一字をも説かず文。

 止観の五に云く是の故に二夜一字を説かずと文、又云く仏二法に因つて此くの如きの説を作したもう縁自法と及び本住の法を謂う、自法とは彼の如来の得る所我も亦之を得文、又云く文字を離るるとは仮名を離るるなり文。

 法華に云く但仮の名字を以て衆生を引導したもう文。

 玄義の五に云く恵能く惑を破し理を顕す理は惑を破すこと能わず、理若し惑を破せば一切衆生悉く理性を具す何が故ぞ破せざる、


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