日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

同生同名御書

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其の中に法道三蔵と申せし人こそ勅宣をおそれずして面にかなやきをやかれて江南と申せし処へ流されて候いしが、今の世の禅宗と申す道士の法門のやうなる悪法を御信用ある世に生れて、日蓮が大難に値うことは法道に似たり、おのおのわずかの御身と生れて鎌倉にゐながら人目をもはばからず命をもおしまず法華経を御信用ある事ただ事ともおぼえず、但おしはかるに濁水に玉を入れぬれば水のすむがごとし、しらざる事をよき人におしえられて其のままに信用せば道理にきこゆるがごとし、釈迦仏普賢菩薩薬王菩薩宿王華菩薩等の各各の御心中に入り給へるか、法華経の文に閻浮提に此の経を信ぜん人は普賢菩薩の御力なりと申す是なるべし、女人はたとへば藤のごとしをとこは松のごとし須臾もはなれぬれば立ちあがる事なし。

 はかばかしき下人もなきにかかる乱れたる世に此のとのをつかはされたる心ざし大地よりもあつし地神定めてしりぬらん虚空よりもたかし梵天帝釈もしらせ給いぬらん、人の身には同生同名と申す二のつかひを天生るる時よりつけさせ給いて影の身にしたがふがごとく須臾もはなれず、大罪小罪大功徳小功徳すこしもおとさずかはるかはる天にのぼて申し候と仏説き給う、此の事ははや天もしろしめしぬらん、たのもししたのもしし。

=四月 日                       日蓮花押

%  四条金吾殿女房御返事


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満月城岡山ポケット版御書