日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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千日尼御返事

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十方世界の諸仏如来大妄語の罪にをとされて寂光の浄土の金るり大地はたとわれて提婆がごとく無間大城にかつぱと入り法蓮香比丘尼がごとく身より大妄語の猛火ぱといでて実報華王の花のその一時に灰燼の地となるべし、いかでかさる事は候べき、故阿仏房一人を寂光の浄土に入れ給はずば諸仏は大苦に堕ち給うべし、ただをいて物を見よただをいて物を見よ、仏のまことそら事は此れにて見奉るべし、さてはをとこははしらのごとし女はなかわのごとし、をとこは足のごとし女人は身のごとし、をとこは羽のごとし女はみのごとし、羽とみとべちべちになりなばなにをもつてかとぶべき、はしらたうれなばなかは地に堕ちなん、いへにをとこなければ人のたましゐなきがごとし、くうじをたれにかいゐあわせん、よき物をばたれにかやしなうべき、一月二日たがいしをだにもをぼつかなくをもいしに、こぞの三月の二十一日にわかれにしがこぞもまちくらせどまみゆる事なし、今年もすでに七つきになりぬ、たといわれこそ来らずともいかにをとづれはなかるらん、ちりし花も又さきぬおちし菓も又なりぬ、春の風もかわらず秋のけしきもこぞのごとし、いかにこの一事のみかわりゆきて本のごとくなかるらむ、月は入りて又いでぬ雲はきへて又来る、この人人の出でてかへらぬ事こそ天もうらめしく地もなげかしく候へ、さこそをぼすらめいそぎいそぎ法華経をらうれうとたのみまいらせ給いて、りやうぜん浄土へまいらせ給いてみまいらせさせ給うべし。

 抑子はかたきと申す経文もあり「世人子の為に衆の罪を造る」の文なり、・鷲と申すとりはをやは慈悲をもつて養へば子はかへりて食とす梟鳥と申すとりは生まれては必ず母をくらう、畜生かくのごとし、人の中にもはるり王は心もゆかぬ父の位を奪い取る、阿闍世王は父を殺せり、安禄山は養母をころし安慶緒と申す人は父の安禄山を殺す安慶緒は又史師明に殺されぬ史師明は史朝義と申す子に又ころされぬ、此れは敵と申すもことわりなり、善星比丘と申すは教主釈尊の御子なり、苦得外道をかたらいて度度父の仏を殺し奉らんとす、


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満月城岡山ポケット版御書