日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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弥三郎殿御返事

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打ち見て候所はあら貴や貴やと見へ候へども法華経を以て見進らせ候へば中中日日に十悪を造る悪人よりは過重きは善人なり、悪人は何れの仏にもよりまいらせ候はねば思い替る辺もなし、若し又善人とも成らば法華経に付き進らする事もや有りなん、日本国の人人は何にも阿弥陀仏より釈迦仏念仏よりも法華経を重くしたしく心よせに思い進らせぬる事難かるべし、されば此の人人は善人に似て悪人なり、悪人の中には一閻浮提第一の大謗法の者大闡提の人なり、釈迦仏此の人をば法華経の二の巻に「其の人命終して阿鼻獄に入らん」と定めさせ給へり、されば今の日本国の諸僧等は提婆達多瞿伽梨尊者にも過ぎたる大悪人なり、又在家の人人は此等を貴み供養し給う故に此の国眼前に無間地獄と変じて諸人現身に大飢渇大疫病先代になき大苦を受くる上他国より責めらるべし、此れは偏に梵天帝釈日月等の御はからひなり、かかる事をば日本国には但日蓮一人計り知って始は云うべきか云うまじきかとうらおもひけれどもさりとては何にすべき、一切衆生の父母たる上仏の仰せを背くべきか、我が身こそ何様にもならめと思いて云い出せしかば二十余年所をおはれ弟子等を殺され我が身も疵を蒙り二度まで流され結句は頚切られんとす、是れ偏に日本国の一切衆生の大苦にあはんを兼て知りて歎き候なり、されば心あらん人人は我等が為にと思食すべし、若し恩を知り心有る人人は二当らん杖には一は替わるべき事ぞかし、さこそ無からめ還って怨をなしなんどせらるる事は心得ず候、又在家の人人の能くも聞きほどかずして或は所を追ひ或は弟子等を怨まるる心えぬさよ、設い知らずとも誤りて現の親を敵ぞと思ひたがへて詈り或は打ち殺したらんは何に科を免るべき、此の人人は我があらぎをば知らずして日蓮があらぎの様に思へり、譬えば物ねたみする女の眼を瞋らかしてとわりをにらむれば己が気色のうとましきをば知らずして還つてとわりの眼おそろしと云うが如し、此等の事は偏に国主の御尋ねなき故なり、又何なれば御尋ねなきぞと申すに此の国の人人余り科多くして一定今生には他国に責められ後生には無間地獄に堕つべき悪業の定まりたるが故なりと、


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満月城岡山ポケット版御書