日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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高橋入道殿御返事 /建治元年七月

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それにとて日蓮はなして日本国にたすくべき者一人もなし、たすからんとをもひしたうならば日本国の念仏者と禅と律僧等が頚を切つてゆいのはまにかくべし、それも今はすぎぬ但し皆人のをもひて候は日蓮をば念仏師と禅と律をそしると をもひて候、これは物のかずにてかずならず真言宗と申す宗がうるわしき日本国の大なる呪咀の悪法なり、弘法大師と慈覚大師此の事にまどひて此の国を亡さんとするなり、設い二年三年にやぶるべき国なりとも真言師にいのらする程ならば一年半年に此のくにせめらるべしと申しきかせて候いき。

 たすけんがために申すを此程あだまるる事なればゆりて候いし時さどの国よりいかなる山中海辺にもまぎれ入るべかりしかども此の事をいま一度平左衛門に申しきかせて日本国にせめのこされん衆生をたすけんがためにのぼりて候いき、又申しきかせ候いし後はかまくらに有るべきならねば足にまかせていでしほどに便宜にて候いしかば設い各各はいとはせ給うとも今一度はみたてまつらんと千度をもひしかども心に心をたたかいてすぎ候いき、そのゆへはするがの国は守殿の御領ことにふじなんどは後家尼ごぜんの内の人人多し、故最明寺殿極楽寺殿のかたきといきどをらせ給うなればききつけられば各各の御なげきなるべしとおもひし心計りなり、いまにいたるまでも不便にをもひまいらせ候へば御返事までも申さず候いき、この御房たちのゆきすりにもあなかしこあなかしこふじかじま(富士賀島)のへんへ立ちよるべからずと申せどもいかが候らんとをぼつかなし。

 ただし真言の事ぞ御不審にわたらせ給い候らん、いかにと法門は申すとも御心へあらん事かたし但眼前の事をもつて知しめせ、隠岐の法皇は人王八十二代神武よりは二千余年天照太神入りかわらせ給いて人王とならせ給う、いかなる者かてきすべき上欽明より隠岐の法皇にいたるまで漢土百済新羅高麗よりわたり来る大法秘法を叡山東寺園城七寺並びに日本国にあがめをかれて候、此れは皆国を守護し国主をまほらんためなり、隠岐の法皇世をかまくらにとられたる事を口をしとをぼして叡山東寺等の高僧等をかたらひて義時が命をめしとれと行ぜしなり、


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